特集 住民の側に立つ公衆衛生活動
第11回社会医学研究会
はじめに
住民との信頼ある絆を
若月 俊一
1
1佐久総合病院
pp.705
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204174
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今年はあたかも1970年ということで,わが社会医学研究会にとりましても,重要な歴史的段階でありましょう.過ぐる年月をふりかえってみて,私ども研究会の態勢が,真に今日の国民の健康を守る,ための斗いに役立ってきたか,また,公害をはじめ健康保険や社会保障に関する,澎湃たる国民の要望の時機に際して,今日果して私どもがこれに答えていくことができるかどうか,真剣に反省しなければならない時と考えます.
今年はわが長野県佐久総合病院で開くということもあり,とくに農村保健問題,農業医学問題に力を入れ,「地域における保健活動」「変貌する農山漁村における健康障害とその対策」などの課題をとりあげました.そのため,日本農村医学会のメンバーの方々にも,だいぶご参加いただきました.日本農村医学会については若干の批判がないでもない.たしかに,公害にみちた都会などのさしせまった事態から遠ざかっている私たちには,若干の油断があるかもしれない.これには私などにもとくに責任があるかもしれません.しかし,私どもはまた,今日の過疎化の中で「無医村的」な環境と斗い農民の健康と命を,日夜真剣に守っていることも厳然たる事実なのであります.とにかく会員の皆さんと隔意のない相互批判をかわし,そして,互いに手をにぎりあい,困難が予想される1970年代を着実に歩んでいきたいと思います.
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