明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 乳腺
母乳哺育と母子の絆
竹内 徹
1
Toru Takeuchi
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.589-593
発行日 1984年7月10日
Published Date 1984/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207026
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最近わが国においても母乳哺育を見直そうとする動きが強く,われわれ新生児期の子どもを取り扱う医療関係者も積極的に母乳哺育の促進のため努力するようになってきた。この点では,スウェーデンでは過去10年間「Back to the breast」という運動が行われ,母乳哺育に対する態度が劇的に変化してきたことが報じられている。最近は,L.A.Hansonら(1983)1)が,「母乳哺育とその促進」という論文で,6つの提案を行っている。そのなかの1つに「新生児に何時乳房を吸わせたらよいか」という提案があり,それに対して次のように答えている。すなわち,母乳哺育(brcast-feeding)は,出生後直ちに(生後1時間以内に)開始すべきである。このことを実施している多くの産院での経験は,この勧告を次のような点から支持している。すなわち母子結合(mother—infant bonding),オキシトシン分泌および乳汁産生をできるだけ早期に開始させるという点である。本稿では,とくにhuman biologyの視点から,哺乳行動に含まれる母子間の相互作用について,またそこに生まれる母児の結びつきについて略述する。
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