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書評─『現象学的看護研究─理論と分析の実際』─「開かれた方法」である現象学的研究方法への重い扉を開く待望書
髙橋 照子
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1徳島文理大学大学院看護学研究科
pp.359
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200202
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日本の看護界に現象学が紹介されたのは1960年代であり,1980年代の,「ゲンショウガクとは,どういう字を書くのですか」と問われたときを経て,今日看護師らの現象学への関心は高まっている。それに呼応して何冊かの解説書が出版されているが,「いいのかな?」いう思いが続いていた。そんな評者にとって,本書はまさに待望の書である。
「現象学的方法は哲学だけのものではなく,看護を含む経験諸科学に開かれているという立場」に立つ哲学者である松葉と,現象学的研究を続ける看護学者である西村が編者である本書は,看護研究のあり方を具現化しているといえる。すなわち,看護現象の量的研究に統計学者が加わり,実験研究では医学者・工学者等の自然科学者との共同研究がなされているように,看護における現象学的研究には哲学者との協働が必要だということである。
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