連載 医療と社会 ブックガイド・36
精神疾患はつくられる—DSM診断の罠
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.228-229
発行日 2004年3月25日
Published Date 2004/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200180
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これは題名通り,日本でも広く使われ精神科関係の人なら誰でも知っている(がそうでない人はほとんど知らない)『DSM』(Diagnostic andStatistical Manual of MentalDisorders=精神障害の診断・統計マニュアル)についての本.「まえがき」には次のようにある.
「アメリカ精神医学会(APA)の権威あるマニュアルとして,DSMは精神科の病気を定義し,分類し,記述してきた.それは,ありふれた精神医学書などとは比較にならない存在なのである.DSMは,社会的価値観と,政治的妥協と,科学的証拠と,そして保険請求用の病名のごった煮が入った大鍋である.本書では,この影響力の強いマニュアルがどのように開発され発展してきたか,診断というものがどのように創られ,また捨てられてきたか,そしてそれがどのように利用され,あるいは誤用されてきたか,を述べてゆくっもりである.」(p.iii-iv)
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