巻頭言
DSM-Ⅲと精神障害の病名
高橋 三郎
1
1滋賀医科大学医学部精神医学教室
pp.244-245
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203386
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一昨年春,米国精神医学会(APA)の発表したDSM-Ⅲは我国の精神科医の間にも大きな反響を呼んでいる。そして,今春,その和訳を出版することとなった注)。この作業で最も大きな問題は何といっても病名の和訳である。
かつて,明治時代に呉秀三はクラフト・エビングの書によって論述した「精神病学集要」を,ついで明治30年(1897)「精神病学要略」を著し,明治30〜34年,オーストリア,ドイツに留学後クレペリンの教科書第6版(1899)を持ち帰り,これをもとに教科書を改めたが,病名について多くの苦心が払われたことは誰も知る通りである。そして呉秀三時代末期(大正末期)には躁うつ狂は躁うつ病,緊張狂は緊張病となり,病名はほぼ今回の形となった。
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