特別寄稿
書くことで内面的な成長を
柳田 邦男
pp.952-953
発行日 2014年10月25日
Published Date 2014/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200013
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医療を患者とつくる作品と見る
専門的な職業人が日常の仕事のなかで経験したことを,日記やエッセイなどの形で書くという行為には,どんな意味があるのだろうか。とりわけ病気や障害を背負った患者・家族と深くかかわる医療者の場合,そうした他者とのかかわり合いのなかで感じたことや起きた出来事について書くということは,どんな意味があるのだろうか。
1990年代の半ばのことだが,当時の厚生省が設けたインフォームド・コンセントの在り方に関する検討会で,私は座長を務めた。医師と患者の関係のなかで,説明と同意の問題がいまだ法的にも倫理的にも定着していない時代だった。各界の専門家を集めたその検討会の2年間の議論を報告書にまとめたとき,私は「はじめに」という序文のなかで,次のような趣旨の文を書いた。
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