連載 当世フェミニン事情—ゆれる女性たち・5
暗く,つらい自己の内面への旅
高畠 克子
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.82-85
発行日 1996年1月1日
Published Date 1996/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904998
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今月は,大学院生のEさんの生いたちに同行しながら,外からはうかがい知れない暗くつらい内面に旅だとうと思う.
Eさんは,小柄できゃしゃな体型ではあるが,全体からかもし出される雰囲気は,派手なハッと息をのむような美しさである.スタイルといい,顔だちといい,物腰といい,なにをとっても男性も女性も,思わず振り返らずにはおかせないものを持っている.そのうえ一流大学をストレートで入学し,いまのいままでまったく挫折を知らず,最短距離を走りつづけてきた.「そんな彼女がなぜカウンセリングを」と,疑問を持たれる方は多いかもしれないが,つらい過去を引きずり,見捨てられ抑うつ病に悩まされて来所された.
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