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論文執筆の動機
2010(平成22)年,今後の看護教員のあり方に関する検討会報告書1)が厚生労働省から出された。これによると,看護教員に求められる能力の1つに研究能力,すなわち専門分野の研究に関する最新情報を収集し,教育に活用できる能力,日々の教育活動のなかに課題を見出し,研究に取り組む能力が求められた。とはいえ,看護専門学校の現状は,授業や実習指導,クラス運営・入試の実施,委員会活動など,膨大な業務に追われ,研究に取り組む時間を確保できない。このような状況下では,教育は業務と化し,教員それぞれが工夫を重ね,実践している授業や技術習得への取り組みが,世間に公表されることなく,自己満足に終わってしまう。教育は,学生のためのものであり,決して世間に公表し,脚光を浴びるためのものではない。しかし,現に教育効果が表れている取り組みを,自己満足で終わらせるのではなく,学会発表や論文投稿などで公表し,評価を受け,情報交換できる場をもつことは,教育内容の向上のためにも必要であると考え,継続的に論文を続けている。
2014年4月の本誌に掲載された実践報告「広島市教員委員会からアドバイザーを招いての公開授業」も,そんな考えから生まれた。論文でも紹介したように,本校では,2004年からFD活動の一環として,学生による授業評価アンケート,教員相互の授業評価を実施してきた。実施当初は,教員間でも抵抗があり,継続するための工夫を繰り返してきた。軌道に乗ってからは,マンネリ化を防ぎ,もっと良い学びの機会にするために,教育委員会にも協力を依頼し,授業に関する助言や指導を受けてきた。この取り組みを紹介し,客観的な意見や感想をもらうことで,より発展していきたいと考え,投稿した。
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