特集 精神看護教育に改めて向き合う
実習指導者が,学校の精神看護教育に望むこと
戸村 正孝
1
1東京都立松沢病院
pp.592-596
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102747
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精神疾患への偏見と無理解からの解放
私が最初に勤務したのは,精神科が母体の総合病院でした。現在勤める松沢病院と同等の規模があり,歴史もあるので,古くから看護師としての資質教育の体系や教育体制が整っていました。看護師として自立するためには何をすべきか,何を学習すべきか,そういう研修があったことが,精神看護をより深く勉強しようと思う後押しになったのだと思います。
そんな私でも,幼少の頃は,精神疾患の患者さんが事件を起こすと,だから「精神異常者はこわい」と言われるような環境にあり,重症の認知症のおばあさんが「火事だ火事だ」「どろぼう」と騒いでいるのをみて,「あれは“ちょっと変な人”だ」と思っていました。精神科で仕事をするようになって,「あれは病気だったんだ」「まわりの人がもっとやさしくしていたら,あのおばあさんはもっと落ち着いていたのに」と,そういう体験や経験に結びつけて理解できるようになりました。
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