特集 精神看護教育に改めて向き合う
いま改めて問う精神看護教育の意義と可能性
鈴木 啓子
1
1名桜大学人間健康学部看護学科
pp.572-578
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102743
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はじめに
ここ二十数年の間に精神保健医療政策は大きく変化し,これは看護基礎教育へも影響している。私が臨床から大学に職場が移った当初は,臨床における精神看護の在りようと看護教育とのギャップに驚いたものである。場違いなところに来てしまったという思いと,その一方で,変化している精神保健医療の制度や当事者のニーズに看護教育の内容や方法をどのように近づけていくとよいのか,自分の専門性を活かして,どのような効果的な講義実習の運営ができるのか悩んでいた。
1989(平成元)年のカリキュラム改正で精神看護が科目として独立しなかったことには,精神看護を専門としてきた自分の存在が認められないかのような無力感をもった。精神看護は独自の専門性を有する看護の領域であり,専門性を明確にした教育をすべきだと素朴に思っていたからだ。しかし,その後,さまざまな教育機関の先生方と精神看護学教育に携わっているなかで,精神看護の本質とは何か,看護教育においてどう扱うとよいのか,私自身のなかでも変化があり現在に至っている。
本稿では,精神看護教育の意義と可能性をテーマに私見を述べる
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