視座
医療新時代へ,いま改めて
伊藤 博元
1
1日本医科大学整形外科
pp.531
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903536
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昨年末,国民的歌番組の中で韓国人女性歌手が,韓国オリジナル曲の「イムジン河」という歌を訳詞と原詩で歌い上げた.本年5月より開催される日韓共催のワールドカップ・サッカーの成功を祈っての企画であったためであろうと思われるが,この放送局にとっては画期的な企画であったのではないであろうか.本来この曲は,1968年2月21日にフォーク・クルセダーズというグループの歌でレコード発売しようとした前日に販売中止された,いわくつきの歌である.当時このことを聞いた詩人のサトウハチローが作詞をし,加藤和彦が作曲,北山 修,はしだのりひことともに歌った「悲しくてやりきれない」が替わって制作された.
イムジン河,リムジンガンは南北朝鮮を分断する38°線に実在する河で,朝鮮戦争によって北に居住せざるを得なくなった人が南北分断を憂い,南に住む家族を思い,自由を求める気持ちを綴った曲とされる.哀愁をおびたメロディーは,当時新宿西口広場や神戸などのフォーク集会では好んで歌われていた.第1次フォーク世代であるわれわれは,オールナイトニッポンという深夜ラジオ番組に耳をそば立たせ,以来思いを込めて口ずさんではいたものの,約35年を経て発禁曲が国民的番組で聞ける時代,国民が望んでいると考えられる時代,CDが発売される時代となったことを実感した次第である.
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