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はじめに
日本看護協会における『2009年病院における看護職員需給状況調査』1)では,「離職率の全国平均は常勤看護職員11.9%と5年ぶりに11%台に,新卒看護職員は8.9%で前年比0.3ポイント減」「新卒看護職員の教育研修体制が十分に整備されている病院では新卒看護職員の離職率が低い」などの報告がなされている。また,「保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」の改正により,2010(平成22)年4月から新人看護職員の卒後臨床研修が努力義務化され,厚生労働省では「新人看護職員研修事業」が立ち上げられた。各医療機関においては,「新人看護職員研修事業」を利用している・利用していないという違いはあっても,新人看護職員を対象とした教育・研修を実施していると思われる。
看護基礎教育においては,2008(平成20)年1月8日に『保健師助産師看護師学校養成所指定規則等の一部を改正する省令(平成20年文部科学省・厚生労働省令第1号:以下,「改正省令」)』が公布された。改正省令は2008年4月1日に施行され,3年課程の場合2009(平成21)年度の新入生から新カリキュラムが適用となった。この2009年度のカリキュラム改正に伴い,これまでの基礎分野,専門基礎分野,専門分野に加えて「看護の統合と実践」が設けられ,このなかで新たに「医療安全の基礎的知識を含む内容」が示され,看護基礎教育においても医療安全教育が盛り込まれた。その内容としては,医療安全の基礎的知識を修得することや,チーム医療および他職種との協働のなかで看護師としてのメンバーシップおよびリーダーシップを理解することなどが求められている。
本稿では,こうした背景も視野に入れつつ,医療機関において新人看護職員を対象として企画・実施する医療安全研修について一つの提案をしたい。
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