連載 ひろがる災害医療と看護 身につけるべき知識とスキル・4
災害現場(救護所)で必要な医療と看護
阿南 英明
1
,
網木 政江
2
1藤沢市民病院救命救急センター
2山口大学大学院医療研究科
pp.1126-1136
発行日 2013年12月25日
Published Date 2013/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102582
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
災害現場(救護所)における医療行為
阿南英明
藤沢市民病院救命救急センター長
はじめに
大規模な災害が発生すると,救護所は自然発生的につくられる場合と,必要だと思われる場所に消防機関や医療チームが設置する場合とがある。多くの被災者が集まれば,そのなかに自ずと怪我や病気の人が含まれる。さらに長期の滞在によって新たに発病する患者もいる。そのために大規模避難所に救護所が設置される。また災害時には多くの傷病者が医療機関を頼って集まってくるので,一極集中を避ける目的で医療機関近傍に救護所が設置されることもある。一方,災害のなかでも電車事故やビルの倒壊など局地的に多数の傷病者が発生する局地災害では,傷病者を日常の救急のようにすぐに医療機関へ搬送できないために,消防機関や現場派遣された医療チームが設置する救護所も出現する。
このようにイメージされる災害現場はさまざまである。局地災害では事故現場そのものであるが,地震・津波などの自然災害では広域の被災地が発生するので,避難所や医療機関も災害現場の一部と言えるかもしれない。本項では広域災害時における避難所や医療機関近傍に設置される救護所(表)と局地災害での現場救護所活動について記述する。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.