特集 災害被災地におけるプライマリ・ケア
スペシャル・アーティクル
関連死・車中死の機序と救護所医療 アロスタシスの視点から
上田 耕蔵
1
1神戸協同病院
キーワード:
関連死
,
車中死
,
ストレス性疾患
,
アロスタシス
,
救護所医療
Keyword:
関連死
,
車中死
,
ストレス性疾患
,
アロスタシス
,
救護所医療
pp.665-669
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100136
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新潟中越地震 新たな被害は車中死
筆者の病院は阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた地域(神戸市長田区南部)にある.全国からの支援を受け救急救護活動を行うなかで,関連死1)(J1)の存在に気付いた.今回,地震のあった中越(十日町)にて医療支援に参加することができたが,いっそう関連死と車中死に関心を持つに至った.新潟中越地震における2004年11月11日までの県警発表の死者40人(うち関連死24人)について,県警の発表資料と新聞記事などから,阪神・淡路大震災と比較しつつ関連死の分析と対策2)を行った.
関連死のうち,車中避難していた人が9人(37%)と多かった.その特徴と留意点は,①深夜から早朝にかけての発症が多い.ストレスの緩和と夜間の睡眠確保が重要3)である.②肺塞栓が3例認められた.今後の救護活動で留意が必要である.③車中死は「孤立」の問題が背景にあると考えられる.④車中の死亡率は避難所と比較して18~45倍高く(p<0.001),非常に危険な避難方法である(図1).
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