連載 看護教育に協同学習法を取り入れる・8
事例に基づいてアセスメントを学習する段階
緒方 巧
1
1梅花女子大学看護学部
pp.1058-1064
発行日 2013年11月25日
Published Date 2013/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102563
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アセスメントに必要な情報を理解するために
前号では,看護過程の構成要素「アセスメント」の段階で情報収集の視点を理解するための演習方法を紹介しました。NANDA─I分類法IIの13領域の概念について理解し,各領域のアセスメントに必要な情報項目を理解するために,13領域のなかから4つの領域を取り上げ,各領域の主観的情報と客観的情報の内容を個人課題学習として設定しました。演習では協同学習の技法,Round-Robin,特派員,ジグソー学習法を組み合わせました。学生からの反応として,「他者や他のグループ・クラス全体の考えにふれて学び合うことで責任をもって主体的に学ぶことの大切さ,他者に自分の意見を述べ他者の考えと絡めて思考し検討し合うことで,考え方の視点が広がり深まることへの楽しさ」などを紹介しました。学習活動に面白さを感じ,なおかつ学習効果を高めるために,協同学習の技法をブレンドした演習の展開も有効であると考えます。
アセスメントの段階では情報収集を的確に行い,得た情報のもつ意味を正しく解釈し判断するためには基本的な知識が必須となります。また同時にクリティカルシンキングの能力が不可欠です。前述の学生の反応から,協同学習法による学習体験は,知識の修得だけではなくクリティカルシンキングに必要な,「複数の選択肢を探す。いろいろな立場で考える開かれた心をもつ。柔軟で多面的な視点をもつ」という態度・情緒的側面1)に働きかけ,育てる可能性が期待できると考えます。
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