特集 対話のスキルを教育に活かす!
対話の文法を可視化する―十字モデルで対話力アップ
牧野 由香里
1
1関西大学総合情報学部
pp.887-894
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102527
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教育における「対話」とは
今日,「対話」という言葉はよく耳にしますが,本来の意味は意外と知られていません。会話するだけでは「対話」になりませんし,意見を伝え合うだけでも「対話」とは言えません。平田オリザさんの定義によると,「価値観や生活習慣なども近い親しい者同士のおしゃべり」1)は日常会話です。一方,「対話」には「あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換。あるいは親しい人同士でも,価値観が異なるときに起こるその摺りあわせなど」2)という意味が含まれます。
異なる価値観が対峙するというイメージは,ディベートを連想させるかもしれませんが,討論は「対話」とは異なります。討論では2者が競い合い,勝敗(優劣)を決めることで問題解決をめざします。一方,「対話」は「AとBという異なる2つの論理が摺りあわさり,Cという新しい概念を生み出す。AもBも変わる。まずはじめに,いずれにしても,両者ともに変わるのだということを前提にして話を始め」3)ます。
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