特集 対話のスキルを教育に活かす!
教育は「対話」から始まる―対話のスキルを身につけよう
三森 ゆりか
1
1つくば言語技術教育研究所
pp.882-886
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102526
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はじめに
「まるで墓場のようだ」─それが,日本のある高校の授業風景を見たドイツ人教師たちの率直な感想だった。彼らにとっての教育とは,教師と生徒たちとの間の活発な議論によって成立するものである。ところが彼らが見た日本の授業風景は,教師が一方的に話すか,あるいは板書するかし,生徒たちはただひたすらノートにそれらを書き取る,というものだった。これは日本のごく典型的な教室の状況であり,その後どのような分野に進む場合にも,高校までのこのような教育のあり方は,学生たちに大きな影響を与える。
人と人とが高い密度で接することを求められる医療の現場では,コミュニケーション能力は不可欠である。この能力を十分にもたないまま進学してくる学生には,彼らを指導する教員が,その能力の重要性と実施方法とを徹底的に教え込む必要がある。そのためには,教員自身が対話ならびに議論の方法を身につけた後,授業内で学生たちにもその方法を指導し,両者でスキルを共有しつつ互いの能力を高めていくことが求められる。医療現場で看護師が適切な対応をするための教育として,これは必要不可欠である。
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