第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
感情の奥にあるもの
太宰 桂
1
1河北医療財団看護専門学校2年
pp.708-709
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102479
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一年次の実習で受け持つこととなったA氏との関わりは,私にとって印象深く,気づかされるところの多いものだった。なかでも特に強く胸に刻んだことがある。「感情の奥にいる『その人自身』をみつめる」ということである。
初日,患者との関係を築くという点で,早速つまずいた。教員と挨拶に伺った際のA氏の第一印象は,とてもしっかりした方で,快く学生を受け入れてくれているというものだった。しかし,初めて私一人で訪室した際,「学生なんて聞いていない」と言って訪室を拒否された。そのうえ,A氏の口唇の乾燥に気づけなかったことに,「気がきかないのは人間性だから,今さら身につかない」と言われた。正直,落ち込んだ。
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