特別記事 書いて深まる看護観(2)─エッセイを書くことで心が豊かになる
患者の自立と依存のバランスを考えながら看護すること
中田 珠美子
1
1横浜市病院協会看護専門学校
pp.216-217
発行日 2013年3月25日
Published Date 2013/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102342
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老年期の患者の「自立と依存」をどのように支えるべきなのか。老年看護実習で,私は入院という環境の変化や治療によって,患者さんの認知症の進行やADLを低下させてしまう危険性について,改めて考える機会が得られた。受け持たせていただいたAさんの「今まで自分で何でもやってきたもの」という言葉。この言葉から,私は患者のねがいを大切にしたいと強く感じ,患者の「自立と依存」のバランスについて考えた実習となった。
緊張して臨んだ実習初日,私はAさんの穏やかな笑顔に迎えられた。Aさんは耳が遠いにもかかわらず,私が話し終える前から相づちを打ったため,「私の話を理解していないのではないか」という戸惑いを感じた。また,話しているうちに何度も同じことを言うため,認知症もあるのではないかとも感じた。そのため,カルテを読むと,Aさんは入院時より軽度の認知症であり,環境の変化によって認知症が進んでいることがわかった。私は,学生としてAさんに何ができるのかを知るために,Aさんがどのような療養生活を送り,今の状態をどのように受け止め,今後どのようになりたいと願っているのかを知りたいと考え,ベッドサイドに通った。
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