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基礎看護学との出会い
基礎看護学で学ぶ内容は多岐にわたると思いますが,学生時代に学んだなかでいちばん印象に残っているのは看護技術の授業です。最初の授業では,真新しい実習服に身を通し緊張と共に胸を高鳴らせていたことを覚えています。いざ学び始めると,「なにをするにも必要物品や決まりごとが多くて面倒くさいなぁ」というのが正直な感想でした。また,看護技術はたくさんの授業のなかでも,講師の先生方が特別厳しく怖い授業でもありました。毎時間行われた技術テストのために,友人らと長期休暇返上でがんばった自主練習は,今となってはいい思い出です。ただ,昔から不器用だった私は,卒業するまで何度練習してもベッドメイキングでシーツの角の「三角」をうまく作ることができず,そのたびに怒られていたので,当時はあまり好きではない科目でした。また,当時は学んでいることから臨床での実践があまり想像できておらず,将来看護師になるためというよりも,今看護学生だからという意識で練習していたように思います。
基礎看護学実習で初めて病院という臨床に出たとき,病院で働いている看護師は学校で習った方法でケアをしていないことに驚きました。教科書通りに,ワゴンいっぱいにたくさんの必要物品を載せていくのではなく,簡素化された必要最低限のものをベッドサイドに持っていく看護師の姿を見て,それまで,看護技術の必要物品や手順はなぜ必要なのか,その患者様にとって本当に必要なのか,根拠を考え吟味していなかった自分に気付きました。臨床での実践が想像できていなかったため,自主練習のときも教科書に書かれている通りに準備・実施することを重要視してしまい,実施する相手の背景や疾患を想像して必要物品や手順を検討していなかったことを痛感しました。
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