連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・92
ファンタジーの世界を連れてくる雪
柳田 邦男
pp.98-99
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102991
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詩というものは,現実とファンタジーの世界を交錯させ融合させる不思議な力を秘めている。だから,詩の文章を絵本にすると,その不思議な力が,一段とダイナミックに立ち上がってくる。ファンタジーの世界を膨らませることは,決して現実世界から遊離してしまうのでなく,むしろ現実世界の悲しみや喜び,苛酷さや安堵感をより深く感じさせる役割を果たすことになるのだ。
最近,詩人と絵描きのコラボレーションによるすばらしい絵本がいくつか創作されているが,『ゆきがふる』はその1作だ。詩集や童話や絵本などを書いている蜂飼耳さんの詩と,装画や挿絵で多くの本を飾っている画家のみごとなアンサンブルによる絵本と言える。
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