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【小研究】「シミュレーションに学ぶ:ナースプラクティショナープログラム学生の臨床技術の学習と獲得への効果」より
シミュレーションが看護教育のなかに組み込まれてきているのは世界的な潮流ではないでしょうか。そもそもシミュレーションが看護・医学教育に組み込まれたのは,患者の安全が医療界で大きな問題だからです。予期しなかったシチュエーションに対して医療者が良識をもって対応する能力は,医学的緊急事態においてポジティブなアウトカムを導く最も重要な要因であるといわれています(Dawson et al., 2004)。この論文では医療ミスで毎年9万8000人が命をなくし,5000万ドルから290億ドルという巨額の損失が,避けることのできるイベントに対して費やされていると報告しています。さらに,医療過誤による人命の損失はいまや交通外傷,乳がんもしくはAIDSを上回るとも報告しているのです。
多くの医療分野でシミュレーションが教育プログラムに活用されていることは,皆さんもよくご存知だと思います。JNEの7号で,Rutherford-Hemmingはナースプラクティショナーの教育課程でシミュレーションを取り入れた結果,臨床でのコンピテンシーが有意に向上し(Mdiff=0.08,SE=0.02,t(13)=3.03,p=0.01,r=0.64),ラボでのコンピテンシーの値と臨床でのコンピテンシーの値は有意な相関関係にあることを報告しました(r(12)=0.63,p<0.01)。ナースプラクティショナーが活動する多くの分野では,医療行為に当てはまる手技を行うこともあるので,特に侵襲的なものについてはシミュレーションを活用します。
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