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書評 ―『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』―対人関係の改善には,小さな怒りを細かく取り除いていくこと
太田 加世
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1C─FEN(シーフェン)
pp.881
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102220
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看護師や教員等,人を相手に仕事をしている者の悩みの多くは対人関係に起因することではないだろうか。世の中にはコミュニケーションに関するハウツーが多く出回っているが,単なるハウツーでは根本的な解決は難しい。では,対人関係やコミュニケーションの問題を解決するためにはどうしたらよいのか。カギは「自分の心」にあると著者はいう。人の心はひっきりなしに想念が渦巻いており,自分の意思と無関係に一瞬で変わる。自分では制御しきれない心は暴れ馬であり,これを認識することが対人関係の対応力を高めるうえで重要なのだ。
赤ちゃんは言葉を話せないが,「おぎゃー」と泣くことによってお腹がすいた,オシメを換えてほしいと自分の欲求を訴える。この「おぎゃー」と泣くことは「怒り」の表明であり,「人間のコミュニケーションは怒りによって他者を動かすというところからスタートする」,これこそが,人間関係,コミュニケーションの難しさをもたらしていると著者はいうのだ。
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