特集 On-the-Job Trainingのコツ―後輩にどう教える?
How-Where(OJTを促進する方法)
AIを生かしたシミュレーション教育(VRを用いたシミュレーションなど)
染谷 真紀
1
SOMEYA Maki
1
1京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター/クリニカルシミュレーションセンター
pp.1147-1150
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002552
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はじめに
OJT(on the job training)は,日常診療のなかでのリアルな経験を通じて学びを深める学習方法であり,医療現場において知識・技術・態度の獲得を目的とした代表的な教育手法として広く活用されてきた。とくに多忙な臨床現場では,若手医療者にとっての貴重な成長の機会であるといえる。OJTは現場での実践的な学習を促進する一方で,OJTの効果は指導者の裁量や教育的視点,教育環境に大きく依存しており,教育内容の一貫性や標準化,客観的な評価,学習機会の平等性において課題があるとされてきた。このような背景のもと,教育の質・機会の保証や体系化・標準化を補完する方法として注目されてきたのが,シミュレーション教育である。さらに ,近年では,artificial intelligence(AI)やextended reality(XR)技術の進化により,革新的技術を取り入れた教育手法が急速に進展してきており,これまでにない個別最適化された学習体験の提供が可能となり,教育の質向上が期待されている。XRは現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称でvirtual reality(VR:仮想現実)だけでなくaugmented reality(AR:拡張現実),mixed reality(MR:複合現実)といった技術が統合的に活用されるようになっており,医学教育の現場に新たな可能性を開きつつある。

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