連載 脳神経内科領域における医学教育の展望—Post/withコロナ時代を見据えて・13
医療安全とシミュレーション教育
冨田 泰彦
1,2
1杏林大学医学部医学教育学教室
2杏林大学医学部付属病院総合研修センター
キーワード:
医療安全
,
シミュレーション
,
デブリーフィング
,
フィードバック
,
形成的評価
Keyword:
医療安全
,
シミュレーション
,
デブリーフィング
,
フィードバック
,
形成的評価
pp.1135-1139
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202195
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シミュレーション教育の必要性
1999年,米国医療の質委員会が米国での医療過誤の分析を行った結果を基に『To err is human』を発刊した1)。その中で医療過誤による患者死亡の多大さが公表され,医療におけるシミュレーション教育の重要性が指摘された。日本においても同じ時期に医療過誤の実例報道が続き,医療機関の医療安全管理体制を整備しつつ,国をあげての対策がとられた。このような流れの結果,医療現場での教育や研修の見直しや取り組みがなされるようになった2)。
シミュレーションという教育手法は,臨床的知識や技能の修得のみならず,チーム医療でのコミュニケーションの向上や臨床的判断力などを身につけるための教育ツールとして,認識されている。医療安全の観点で見ると,シミュレーション教育では,危機的状況,ピットフォールや失敗さえも模擬体験できるという利点がある。さらにEBMに基づくガイドラインに準拠したシミュレーショントレーニングを実施することで,臨床トレーニングの標準化につながり,その結果,医療の質の向上に貢献することになる。
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