連載 「看護」を一生ものの仕事に 基礎教育で学ばせたい医療現場のリスクとその対策・1【新連載】
医療安全の基盤である,労働安全衛生アプローチ
小川 忍
1
1公益社団法人日本看護協会
pp.886-891
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102223
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
連載を始めるにあたって
看護学生の大半が卒業後就職する医療機関は,医療従事者の安全と健康にとって多くのリスク(危険性)がある職場である。しかしながら,人事労務管理のなかで労働安全衛生アプローチが非常に弱い職場でもある。最善の治療と医療安全を最優先課題とする医療機関において,「医療従事者の安全と健康が患者の安全と健康を守る」というこの当たり前のことが,残念ながら十分に認識されていないのである。自己犠牲を尊ぶ文化・職場風土,労働安全衛生法等の法令に対する知識不足,医療安全対策の基本が十分に理解されていないことなどがその背景にあるのだろう。その結果,患者の安全にのみ焦点が当てられ,医療安全の基盤である医療従事者の安全と健康が二の次,三の次になっているのである。
このような現状を変えるために,ぜひ,看護教育に携わる先生方にもご尽力をいただきたい,というのが拙稿の趣旨である。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.