連載 職場の労務管理―管理者に必要な視点・2
労働基準法・労働安全衛生法の成り立ちとその精神(2)
畠中 信夫
1
1東洋大学法学部大学院
pp.700-705
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900705
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労働安全衛生法の制定とその特徴
制定に至るまで
労働基準法(以下「労基法」)のもとで,安全衛生も含めてほとんどすべての労働条件を一体となって規律するという法体系は,憲法第27条第2項との関係からいっても,非常にわかりやすいものではあったが,1つの法律の中で,労働条件の主要な部分をすべて規律していくことの無理は,労基法制定後の戦後の急激な産業経済の発展や社会の変化に伴い,徐々に明らかとなっていった.そして,次のような法律が,労基法から分離し,あるいは労基法と相補うものとして制定されていった.
・けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(1955年)
・職業訓練法(1958年)
・最低賃金法(1959年)
・じん肺方(1960年)
特に労働災害は,産業の復興と著しい経済発展に伴い毎年増加し,死亡災害だけをとってみても,図に見るように,1961年(昭和36)年には6712人とピークに達し,その後も毎年6000人台で推移していった.
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