調査報告
看護基礎教育における国際看護学実習の意義─学生の意識調査から
須藤 恭子
1
,
樋口 まち子
1
1国立看護大学校
pp.786-791
発行日 2012年9月25日
Published Date 2012/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102192
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緒言
グローバル化に伴い国外における国際協力の場の拡大や国内の国際化によって,看護職が国際的視野をもつことの重要性が認識され,看護の基礎教育課程における国際看護の位置づけが明文化された1)。しかしながら国際看護分野は学問体系としての歴史が浅くいまだ未熟な学問であり,各看護教育機関は,試行錯誤を重ねながら国際看護に関する教育を実施している。
国際看護に関する教育は,1990年代以降に増加した看護系大学を中心に独自の教育方法を駆使して実施され,4年制看護大学の過半数が国際看護や国際看護学等の科目名で教育を実施している2)。しかし,「実習」という科目を配置し海外で実習を行っている大学はわずかにすぎず3),その実践の研究的分析には至っていないのが現状である。他方,実習に関する報告によると,途上国で実施した実習が,異文化理解や保健医療分野の国際協力の実際等,途上国でしか得られない学びを深める貴重な経験となることが明らかになっている4, 5)。
国立看護大学校(以下,本学)では,国際看護活動の実践能力の獲得を重視した教育体制をとっており,国際看護学実習を必修科目として配置している。本学は,国際社会のニーズに呼応すべく,国際看護に関する教育を他の看護専門分野と同様に体系的に実施している数少ない教育機関のひとつである。そこで,国際看護学実習の教育的効果や意義を明確にするための基礎資料のひとつとして本学における調査結果を報告する。
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