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書評 ―『説明できるエンゼルケア』―癒しの心を導くエンゼルケアの実践書
根岸 貴子
1
1埼玉医科大学保健医療学部看護学科
pp.211
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102026
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看護教育においては,死に向かう人のケアとしてエンゼルケアを位置づけ,亡くなられた故人や家族の意向を大切にするケアとして教育している。しかし,「綿をつめる,つめない?」など根拠が明確にされないことも多く,混沌としたなかで教育してきた背景がある。エンゼルケアはいかにあるべきか,これから看護師になる学生たちは何を知っておく必要があるのか,本書にてそれを知る機会を得た。
昨年の東日本大震災後のある家族のことである。亡くなった母親のご遺体に対して生前の顔に近い状態にエンゼルメイクをして差し上げ,子どもたちと夫が寂しいなかにもやっと別れの決意ができたという報道を見た。エンゼルケアでは,大切な方と別れ,残された方の心が癒される必要がある。最後の姿をご家族の望む形でお送りしたい。それはケアにあたった看護師たちも同じ気持ちである。では,実際にはどのようにしていったらよいのだろうか。故人を見送るご家族や近親者の心の叫びに耳を傾けるとはどういうことか,看護師自身がもつべきスタンスとは何か,その疑問に答えてくれたのが本書である。
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