連載 沖縄から漕ぎ出す「島しょ保健看護学」の船出・4
島しょ看護研究をどう進めるか―その方法と実際
大湾 明美
1
,
野口 美和子
1
1沖縄県立看護大学
pp.142-148
発行日 2012年2月25日
Published Date 2012/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102006
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はじめに
グローバル化社会においては,共通性や普遍性に優位の価値をおくため,島しょという特定の地域にのみ通用する生活様式や行動様式などの地域文化,それに根ざした生活や看護には光があたりにくい。
われわれは,多くの島々を抱えている島しょ県の県立看護大学の使命としてだけでなく,人々の健康に関わる看護学のあり方を追求するためにも,地域文化が色濃く保持されている島しょで看護研究に取り組んでいる。筆者のうち大湾は,離島出身で島しょと都市地域での生活体験があり,便利,快適な物質文明を追い求めているうちに,人と人のつながり,人と環境とのつながりに疑問をもち始め,「豊かさとは何か?」とゆらぎ,島しょ看護研究にたどり着いた。野口は,戦前のテニアンで幼少期を過ごし,看護教育研究の先進大学での勤務後,自治医科大学看護学部でへき地看護の課題や可能性を見出し,島しょを含むへき地での看護活動を学問的に構築するために日本ルーラルナーシング学会を創設した。そして,島しょ看護への強い関心を抱きつつあるとき,請われて本学学長に着任し,島しょ看護研究を開始した。
これまで,大学教員として島しょ看護を研究し,また博士前期課程と博士後期課程の島しょ看護に関する研究指導を行ってきた。研究活動や研究指導の実際を紹介し,今後の島しょ看護研究の方向性を提示したい。
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