連載 沖縄から漕ぎ出す「島しょ保健看護学」の船出・2
学部における臨地実習の新たな教育方法「島しょモデル型臨地実習」
前田 和子
1
,
大湾 明美
1
1沖縄県立看護大学
pp.1024-1029
発行日 2011年12月25日
Published Date 2011/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101947
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
本学は2008(平成20)年11月から2011(平成23)年3月まで,質の高い大学教育推進プログラム「島しょ環境を活かして学ぶ保健看護の教育実践」の補助事業に取り組んだ。これまで島しょ地域での実習は,人的・物理的な環境整備の脆弱さと交通アクセスや宿泊の課題など,島しょ環境の“弱み”が強調され,積極的に推進されてこなかった。そこで,本事業のねらいは,島しょ環境の“強み”を活かして看護教育をすることにより,学生の学習成果をあげると同時に,島しょ地域の活性化を図ることであった。
島しょ県にある本学の使命は,小さい離島や僻地であっても,そこに住む人々すべてが最善の健康を保持増進し,回復するように支援できる自立した看護職者を育成することである。その使命を果たすべく本学看護学部は,6つの教育目標を掲げている(表1)。これらのうち,第4の「保健医療福祉の概念を共有し,関連職種との連携のなかで専門職者として看護の役割を担うことのできる能力を養うこと」と,第5の「人間のおかれた地理的文化的特性を理解し,地域に根ざした保健看護活動ができる能力を養うこと」という2つの教育目標を効率的に達成できるよう,本学は臨地実習の工夫・改善に取り組んだ。
今回は,宮古島をモデル島として取り組んだ「島しょモデル型臨地実習」を紹介する。特に,新たな教育方法として有効であった取り組み,すなわち,島しょの住民ボランティアによる学習支援,実習指導力向上のための実習先看護職者と大学教員との協働プロジェクトを紹介し,看護基礎教育における環境を活かした臨地実習の意義を述べたい。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.