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英語を母国語としない看護学生へのサポート
私はコミュニケーションは看護を行ううえでの必須の構成要素であり,看護師のコミュニケーション能力は良いアウトカムを導きだすのに欠かせない要因だと思っています。看護学生がコミュニケーション能力を発達させていくためには,個々の学生のニーズに基づいた適切なサポートが欠かせません。今回のJNEは少数民族,促進プログラムに入る学生,そして英語を母国語としない生徒など特殊な立場にあり,コミュニケーションに困難を抱えやすい学生のニーズを取り上げています。そのなかでも私もその一員である英語を母国語としない看護学生のニーズについて,私の経験に基づいて実際に受けたサポートについてお話をしようと思います。
米国の看護師の約15%は他の国で看護師の教育を受け,その後さまざまな理由で渡米してきた人で占められています1)。そのなかには母国での看護教育が英語で行われたケースもあるでしょうし,英語以外の母国語で行われたケースもあります。米国の看護教育機関,特に大学院では,英語を母国語としない人の出願時には,その人の英語能力をTOEFLのスコアやCGFNSの審査結果を基に評価し,ある程度線引きします。ただし,これらのテストは言語能力をあらゆる面で数値化できるものではありません。テスト結果以外の評価基準として用いられる出願時のエッセイも,何度も翻訳家やネイティブスピーカーに推敲されていれば,出願者本人の言語能力よりも高いレベルの“流暢な英語”で書かれたものが評価され,入学を認められることもあります。もちろん入ってから本人は苦労することにはなりますが,入ってしまえば何とかなるという姿勢の人はたくさんいますから珍しいことではありません。ちなみに看護学部教育を英語で受けていると大学院の受験時には言語テストは免除されます。
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