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書評 ―『見てできる 褥瘡のラップ療法』―最新のケアとしてのラップ療法を知るための入門書
六角 僚子
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1東京工科大学医療保健学部看護学科
pp.869
発行日 2011年10月25日
Published Date 2011/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101902
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一昔前は,褥瘡をもつ患者への処置は,(1)生理食塩水でごしごし洗い,(2)お天気のよい日は部位を日光に当てるかドライヤーでしっかりと乾燥させ,(3)イソジンで消毒しガーゼを当てる……,これが通常のケアでした。そんななか,4,5年前から耳にするようになったのが本書のタイトルである「ラップ療法」です。簡単に治せる,手軽に治せる,コストもかからず誰にでも治せる,施設では大流行というような噂。何となく疑わしい怪しそうな療法と,私自身が決めつけていたところがありました。
今回本書を手にして,まず写真がたくさんあり,言葉も端的で非常に読みやすいという印象をもちました。これには「ラップ療法を実際に施行する看護師,介護者の目線で,ラップ療法をわかりやすく解説する」という著者らの意図が表れています。先に紹介されている創傷治療の原則,アセスメントの重要性は褥瘡に向き合う多職種に必要な基本的な知識といえますし,紹介されている事例は,丁寧に実践を積み上げてきたことを傍証しています。批判を受けながら,地道に事例を積み上げてきた結果が本書では実感できます。
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