ナイチンゲール伝を読む

　10年ほど前にナイチンゲールの伝記を書いたことがあります．その数年前，初めての著作を出版した直後に，ある看護雑誌の編集者から依頼されて，ナイチンゲールの主著『看護覚え書』について，歴史研究者の立場から雑文を寄せたのですが，それが別の編集者の眼にとまり，上記の伝記を書くことになったわけです．

　引き受けはしましたが，それまで伝記を書いたことはありませんでした．ナイチンゲールの著作はある程度読んでいましたが，他人の書いた伝記もたいして読んではいませんでした．そこで，まず当時手に入るかぎりの伝記を，子供向けに書かれた偉人伝も含めて，片っ端から購入し，短期集中で文字どおり読破するという経験をしました．