この本,いかがですか?
ナイチンゲール伝―図説 看護覚え書とともに
福澤(岸) 利江子
1
1東京大学大学院医学系研究科家族看護学教室
pp.519
発行日 2014年6月25日
Published Date 2014/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102828
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
マンガでナイチンゲールを学びなおす
助産師(産婆)は英語でmidwifeです。日本の助産師は戦後に看護師免許をもつことが義務づけられたため,正確にはnurse-midwife(看護助産師)といいます。現在,世界の助産師をみわたすと,看護師免許を必要としないダイレクトエントリーの助産師が多いことに気づきます。むしろ,そちらのほうが主流だと感じるほどです。興味深いことに,看護の祖ともいえるフローレンス・ナイチンゲールを生み出したイギリスで,助産師は看護師免許を必要としません。しかし,実はナイチンゲールは当時,助産師学校創設にもかかわっていたのでした。
本書を読むと,看護と助産に共通する考え方に何度も出会います。すなわち,自然が働きかけやすい最高の状態に患者を置くことの大切さ,患者に負担をかけない方法で十分に観察することからケアが始まること,など。さらには,自分がいない時にも同じケアが提供されるようなしくみをつくることが責任をもつということである,医師に対する従順さは知的であるべき,と看護師の態度について諭します。ナイチンゲールは,他人の健康の世話をするすべての人が看護師であるといいます。彼女が神の声にしたがい看護の仕事に邁進したことも,妊娠・出産の真理を追究する助産師がどこか神がかってくることに似ているのではないでしょうか。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.