特別記事
看護基礎教育におけるCBTの作成と課題
猫田 泰敏
1
1首都大学東京健康福祉学部看護学科
pp.1080-1085
発行日 2010年12月25日
Published Date 2010/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101630
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はじめに
CBT(Computer Based Testing)は,テストに関する研究の進歩と情報技術の応用が可能にした,主として教育目標のタキソノミーでいう認知領域1)の評価に用いられている新しいテスト法である。従来の紙と鉛筆を用いたテストに代わり,一定規模の質の保証された問題群(以下,問題プール)をコンピュータ(サーバ)で管理し,接続されたコンピュータ端末の画面上に次々と表示される問題に対してマウスやキーボードで解答するのが一般的である。
われわれは2002(平成14)年度から2004(16)年度にかけて「看護系大学生の知識・問題解決能力に関わるコンピュータを利用した評価システムの開発」2)を行った。この研究の目的は,看護基礎教育において,安全で効果的な臨地実習を実施するための基盤となる基本的な認知領域の能力の習得レベルを評価するための手段として,CBTを活用した妥当かつ公平な評価方法を開発することであった。医学・歯学教育においては,モデル・コア・カリキュラムに基づき共用試験として臨床実習前の学生を対象として2005(平成17)年度からCBTが実施されているが,これに関わる先行研究から多くの示唆を得た3)。
本稿は,看護教育におけるCBTの活用が一層進展することを願い,前記研究報告書の内容を基本とし,それ以降に入手した研究成果も踏まえたうえで看護の立場から,まずCBTを可能にするために必須と筆者が考える基本的な研究成果を精選し要約し,われわれが作成したCBTを紹介し,最後にCBT活用の課題についてまとめたものである。
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