特集 性をめぐる諸問題
セックス・カウンセリングはなぜ必要か
野末 源一
1
1日赤医療センター婦人科
pp.718-723
発行日 1980年11月25日
Published Date 1980/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205779
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I.セックス・カウンセリングの必要性
性の問題は,人間にとって一大関心事である。思春期,未婚の時代,結婚生活といずれの時期をとっても,それぞれに非常に大きな問題がある。表面には出さないけれども,何か性の問題がある場合に,往々にして人間は,常にそのことばかりを考え,性の悩みにとらわれがちで,日常の生活にも多くの影響を及ぼすのが常である。
今,実例を一つあげてみよう。夫が30歳の夫婦であるが,主訴は結婚後4か月たつが,今だにセックスがうまくいかないという。初夜は,男性の方が勃起しなくて,疲れていたためであろうとお互いに思っていたが,その後1週間に4日位の性交渉があり,最近になって少し勃起するようになったが,挿入しようとすると萎えてしまうというような訴えをもって夫婦で私どもの日赤医療センターセックスカウンセリング外来に来られた。本人たちにとっては,非常に大きな問題である。このように結婚してうまく性交渉がいかない場合には,常にそれにとらわれて,長く続けばついには離婚の話にまで発展する場合もありうる。こういうような時に,セックス・カウンセリングが力を発揮するのである。セックス・カウソセリングから,セックス・セラピィへと治療が続いていく。
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