連載 評価から始める教育活動・6【最終回】
評価から始める教育活動の意義と課題
衣川 さえ子
1,2
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部看護リプロヘルス看護学領域
2前厚生労働省看護研修研究センター
pp.512-516
発行日 2010年6月25日
Published Date 2010/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101487
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はじめに
教育目標の達成をめざす授業の計画は,これまでに実践した授業のありようや現時点における学生の理解の姿を分析・評価する営みから始まる。
近年,学習観の転換と相俟った教育評価の新たな地平として,「目標に準拠した評価」と「個人内評価」とを結合した教育評価が提唱されている1)。新しい教育評価は,(1)評価の課題や活動がリアルである,(2)学習者が評価に参加する,(3)学習者の内面の精神状況を表現する,(4)自己評価能力を形成する,という4つのキーワードで説明される。
看護基礎教育においては,これまで看護実践能力を向上させる必要性が指摘されており,座学で学習した知識を看護の臨床場面で活用し,自らの看護実践を省察し学び続ける能力を涵養するためには,学生がリアルな課題に取り組み,自己の内面の精神状況を表出し,自らの状況を評価し行動を調整する学習を組み入れた教育を意図的に展開する必要がある。展開を推進するうえでは新しい教育評価の考え方を適用することが肝要と考える。
そこで,評価から始めた教育実践の事例を紹介し,教育評価のあり方を再考する機会にしたいと考え,本連載(1~6月号)を展開した。
これまでの稿では,看護学生に対する授業実践,看護教員間の連携促進,看護教員養成における授業実践の5事例を取り上げ,評価から始める教育活動の具体的方法を報告した。本稿では,連載のまとめとして評価から始める教育活動の意義を述べ,さらに今後取り組みたい教育評価の基本的な考え方を整理して述べる。
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