特集 プライマリー・ケア
プライマリー・メディシンの意義と課題
若月 俊一
1
1佐久総合病院
pp.242-249
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205360
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I.プライマリー・メディシンと私どもの第一線医学
プライマリー・メディシンということが,最近強くいわれるようになってきたのは,非常にいいことだ.これは従来,私どもが農村医療の立場で,第一線の医療ないしは医学ということを強く強調してきたところと,まったく一致する.
このアメリカのプライマリー・ケアを直訳すれば,「一次医療」であり,プライマリー・メディシンは「一次医学」ということになるのであろうが,私は従来の私どもの主張を含めて,あえて「第一線医療」ないし「第一線医学」と呼んでいる.その方が,日本の実情にあうと思うからである.一次とか二次とかいっても,概念的には理解できるが,アメリカやヨーロッパ諸国のように,一次と二次の医療および医学の体制があって,その間の機能分担と相互の連携がきちんとしている場合には,そのような用語もよく理解できるが,わが国のように,診療所と病院の機能分担さえ明確でない実情の中では,それは難しい.むしろ直截的に第一線,第二線というような分け方をした方が,語感としても直接的であり,また,この方向をおし進める運動の実践の立場からいっても,内容のある言葉のように思えるからである.
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