特集 老人保健福祉計画策定のノウハウ
ニーズ把握の意義と課題
川村 佐和子
1
Sawako KAWAMURA
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学
pp.91-94
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900740
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◆医療・保健の動向と当面する課題
近年,老人保健法の制定と医療法の改正,健康保険制度の改正などにより,健康課題に対する解決方法に構造的な変化が始まっている.そこで,その変革によって生じてくる課題現在は潜在化している課題への対応が求められ,ニーズの再把握が重要となっている.
平成4年7月に行われた厚生省健康政策局長古市圭治氏の講演1)要旨を読むと,現在の保健医療供給にどのような変革が求められているか,より具体的に理解できる.局長の考えでは「増大する医療需要に対応するため」従来の対応を次のように方向転換していくことが理解される.①医療資源を保健医療ニーズによって分化する.これは病院の機能分化という方法で開始されているが,すでに,病床増加を抑制しているので,分化のための病床の転化は,「現在の医療法で決められた医師,看護婦等の人員配置標準を長期的に常態的に満たしていない場合には病床使用制限をかけ,それらの病床を地域医療機関と行政が一緒になってどういう新しい施設に振り向けるかを考えることになろう」.有床診療所の位置づけは今後の検討課題である.②1病院完結主義から各施設が連携して,地域の保健医療福祉対策を考える時代にある.
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