特集 看護倫理を教育のベースラインに
看護教員が向き合う倫理的ジレンマ―アンケート調査と基礎教育の変遷から
山本 君子
1
1東京医科大学看護専門学校
pp.280-285
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101437
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時代の要請としての“看護倫理”
近年の社会背景の変化に伴い,人々の求める医療従事者への期待は大きくなっている。日本看護協会(以下,協会)が看護を実践するための行動指針となる「看護師の倫理綱領」を2003(平成15)年に提示し,7年が経過した。臨床現場や看護基礎教育では,主にこの「看護師の倫理綱領」をものさしとして実践をはかっている。2009(平成21)年に,看護基礎教育においてカリキュラムが改正された最大のポイントは,「看護実践力を身につけること」にあり,“看護倫理教育”が看護職の行動の基盤として求められるようになった。改正では,「看護師として倫理的な判断をするための基礎的能力を養う内容」1)と明示されており,今まで以上の強化も求められている。看護教員(以下,教員)の教育力が重要になってきていることは言うまでもない。
また,協会は,2006(平成16)年に「臨床倫理委員会の設置とその活用に関する指針」を公表し,倫理的行動として「1.倫理的感受性:倫理的問題に気づく力」「2.倫理的推論:倫理的に問題である理由が説明できる力」「3.態度表明:倫理的に行動しようとする力」「4.実現:倫理的行為を遂行することができる力」の4つの要素を提示している2).
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