マイ・オピニオン
進学課程での教員のジレンマ
伊藤 文子
1
1神奈川県立病院付属看護専門学校
pp.1137
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918808
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3年課程の看護学校の教員をしばらく経験したのち,進学課程看護教員として3年目を迎えた現在思うことは,全日制進学課程の教育もまた3年間は必要だということである.
多くの資料が示すように,入学生の多くが高校の衛生看護科の出身者と変わってきた現状のなかで,教育の積み重ねが期待されきれなくなってきたからである.それぞれの高校で学んでくる看護の内容は様々で,特に技術の習得状況に至っては大変なものである.例えば清拭の技術チェックの1つをとってみても,看護の対象となる一個人に学生1人が援助してくる経験は少なく,グループで部分的なテクニックを学んで清拭の技術を終了してくるところもあり,1人で1人の対象に援助することができないのである.そのため授業時間の厳しい制約の中でひねりだすわずかな時間で学内演習を試み,臨床実習への導入としなければ,学生は自信をもって援助ができないのである.しかも授業のなかでは,一度学習したという頭があるためか,初めて学習する者と比較すると,学習過程で様々な反応が現れ,多くの時間が費されることになる.そして学ぶ学生自身の姿勢も,教わる受け身の姿勢で臨んでいるため,内容を深めてゆく学習の展開が困難となり,学生自身にも負担となってくるようである.もちろん様々な授業展開を試みてみるが,そうすればするほど時間的制約のなかで苦しむことになる.
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