特集 2010年看護教育の課題
【インタビュー】看護の未来を[TE─ARTe]する―看護基礎技術教育の温故知新
川島 みどり
1,2
,
本誌編集室
1日本赤十字看護大学
2健和会臨床看護学研究所
pp.12-20
発行日 2010年1月25日
Published Date 2010/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101375
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看護基礎技術に“わざ”の土台となる『型』を
川島 看護研究学会(横浜,2009年)で,提起したことがあるんです。近年──この10年程度の期間,厚労省や文科省でも公けに打ち出されている新人看護師の「実践力低下」の問題について,基礎教育での課題としても,まず看護学生の実践力や技術力をどのように向上させるかがテーマにされてきていますね。ところがさらに以前──30年程前に,日本看護協会や種々の学会の場での主流意見としては,新人は「すぐに役立つ必要はない。じっくりでいいから現場で熟成して成長していくのが大事」というものでした。その背景としては,理想として近未来に看護教育の大学化が進み,高等教育の体系の中で看護学生に“考える力”を身につけさせたい,すぐに役立つより自己啓発して長く伸びてゆく人を育てたいという論議が相当されていたんです1)。でも,看護師とは看護実践をする人だから,即戦力とまでは言わないまでも,現場である程度役に立たなかったら意味がないでしょうと,その流れについては,私はずっと疑問に感じてきたわけです。
ただ考えてみれば,学生の技術力・実践力の低下という以前に,「教員の」実践力はどうなっているの?と問いたいわけです。いったい優れた看護実践のできる教員がどのくらい存在するのでしょうか。
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