第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
【柳田邦男賞 次点】老年期の患者様から学んだ「自分を生きる」ということ
関 洋子
1
1滋賀県堅田看護専門学校
pp.682-683
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101260
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琵琶湖の西岸に沿って一時間足らずのところにある総合病院での実習だった。冠雪した比良山から冷たい風が吹き下ろし,田畑も山も吐く息も,雪で真白な二月。基礎看護学実習IIで初めて3週間患者様を受け持たせてもらえることに,私はわくわくした気持ちと不安と寒さにぶるぶると震えていた。
病棟のオリエンテーションが終わり,グループメンバーの受け持ち患者様がひとりひとり紹介されていった。病棟の一番奥にある病室が私の受け持ち患者様の部屋だった。受け持ち患者様のNさんは老年期にある男性で,胸椎硬膜外血腫からの対麻痺でリハビリテーション目的の入院,慢性腎不全もあり血液透析治療を行っている方と事前に知らせてくださっていた。
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