看護教育研究
小児看護学実習における学生の遊びへの関与が能動的関与に至るまでの過程
山中 真弓
1
,
荒木 美佐子
2
,
加藤 有美子
3
,
加藤 博美
4
,
木口 亜希
5
1国立病院機構九州医療センター附属福岡看護助産学校
2国立病院機構熊本医療センター附属看護学校
3国立病院機構別府医療センター附属大分中央看護学校
4元国立病院機構都城病院附属看護学校
5元国立病院機構小倉病院附属看護学校
pp.1136-1141
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101084
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
子どもにとって遊びは生活そのものであり,入院という出来事は,患児の成長・発達を阻害する因子となりうる。小児看護学において,看護者はその患児の健康障害を把握し,遊びの意義を認識して,患児の発達段階に適した遊びができるように援助する必要がある。
小児看護学実習において看護学生に実習指導を行う中で,患児の健康障害を把握し,成長発達を踏まえ,遊びを活用した関係形成や看護を行うよう指導している。しかし,中には遊びが中心となってしまい,看護に発展しない学生がいる。学生に遊びの援助について面接を行ったところ,実習の前半では患児との関係を早く築きたいという思いの表れから,患児の興味や習慣について情報収集しており,援助に関しては患児の意志を尊重した判断が多くみられた。特に実習後半では,「患児を喜ばせたい」という学生の思いから,様々な規制がある中で意図的に遊びを取り入れていた。
患児の喜びに視点をおくことは患児の自発的・自主的な遊びにつながり,発達を促し癒すという遊び本来の目的を達成するために必要である。しかし,健康障害をもつ患児への援助というアセスメントが不十分であった。
日頃の実習指導での面接から,以上のように学生が意図的に遊びを取り入れて患児と関わる過程をたどっていることがわかった。そこで,患児の遊びに対する援助において,学生の意図的な遊びを取り入れた関わりの過程を明らかにし,成長発達に応じた意図的な遊びの援助ができるための指導の示唆を得たいと考え,本研究に取り組んだ。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.