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狭心症における冠スパズムの関与とその意義
土師 一夫
1
1国立循環器病センター・内科心臓部門
pp.1659-1671
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219937
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coronary artery spasm(本稿ではその邦語として冠スパズムを用いることにする1))に関してこれまでに積み重ねられてきた多くの優れた実験的,臨床的研究により,冠スパズムは冠動脈の器質的狭窄とともに狭心症における心筋虚血の支配的な病因であるという見解に今日では異論がない.冠スパズムの関与した狭心症をvasospastic anginaと称することも慣例化している.しかしながら,冠スパズムの定義や成因,冠スパズムの関与した狭心症(ここではVAと略称する)の病期となる機転,心筋梗塞発症と冠スパズムの関連などの冠スパズムにまつわる本質的な諸問題はなお未解決である.これらの解明が今日の虚血性心臓病学の重要課題の1つといっても過言ではない.本稿ではこれらの現状を踏まえ,狭心症における冠スパズムの関与のあり方,およびその意義について自験例の検討結果を中心に述べる.
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