論述
手作業の習熟過程における中枢の関与について
梁瀬 度子
1
Takuko YANASE
1
1奈良県立医科大学第二外科学教室
pp.201-210
発行日 1971年3月25日
Published Date 1971/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904521
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緒言
従来,手指筋の動作学的研究は,特定作業時の熟練者と未熟練者との動作分析によつて,より合理的な動作の追求をする形式のものが,主流をなしていた.しかし,この習熟という問題は,単なる動作学的分析対比だけでは解決しえない内容を含んでいる.思うに,習熟によつて合理的な動作が半ば不随意的に行なわれるには,必ずや中枢機構の関与があるに違いない.ここに著者は巧緻な反復手作業であるレース編みをとりあげ,熟練者と未熟練者との動作をkinesiologicに検討したうえ,習熟過程における脳機能の変化をも追求した.脳機能の検討には脳波と筋電図を併用したところ,そのいずれもが条件反射と関連する興味深い知見を得たので,その結果を報告する.
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