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はじめに
近年,少子化の影響や看護大学の増設に伴い,看護学生の特性が徐々に変化している。現在,看護教育の現場では,学生の思考力・応用力を養っていくことが大きな課題となっており,学生自身の持つ力をいかに引き出すかについて日々試行を繰り返している。
また,臨地実習の環境にも変化があり,効果的な実習を行うための検討が必要になってきている。医療制度の変化に伴い,入院患者の在院日数は年々短縮の傾向にある。厚生労働省で行われた2005年(平成17年)患者調査の概要によると,年齢階級が低くなるに従い退院患者平均在院日数は短くなっており,病院における小児(0~14歳)の在院日数は平均9.7日となっている1)。必然的に小児看護学実習の患児の受け持ち期間も短縮していく中で,学生が短期間に看護過程を展開していくことが難しくなっている2)。特に,小児看護では成長・発達の視点が重要なため,疾患をとらえる視点のみに偏ることなく,短い期間で患児を全体的に捉えることができるよう,学習方法を工夫する必要がある。
このような背景の中,群馬県内の看護師養成所では,小児分野に携わる教員が集まり,定期的に教育方法について検討している。今回は,臨地実習の記録様式の中でも,分析力や判断力が求められる関連図の効果的な指導方法について検討した。疾患や発達についての知識や学生自身の気づきをもとに,思考を深めることを目的とし,複数の文献を参考にして3─5),事例と関連図を作成した。さらに,短期間で「子ども」という対象を捉えていくという着眼点から,関連図のポイントとなる要素を7つの項目に整理し,指導案を作成した。
以下,ネフローゼ3歳男児の事例に沿って,説明する。
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