連載 看護学校の経営・管理論・6
結果平等─国家試験対策を例にした学習権の保証
網野 寛子
1
1東京都ナースプラザ
pp.874-878
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101028
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
結果平等とは
看護学校養成所の管理者には,入学した学生に対して看護師になるために習得すべき最低限の基準を設定して,国家試験に合格させて世の中に送り出す,すなわち学生の学習権を保証することが責務である。学生一人ひとりの学力差はあるにしても,国家資格という全国一律の資格取得試験がある場合,ことさら「結果平等」を重視して管理運営をしていく必要に迫られ,国家試験の合格率に敏感にならざるを得ない。国家試験の合否に関して,「学生が勉強しないからしょうがない」「国試は最低限の知識が出るだけなので不合格になるようなレベルの者は看護師にならないほうがよい」「本当に大事なのは人間性」などとのんきなことを言っているとしたら,それは管理者としては無責任極まりない。
試験というものは,本来その人の能力を伸ばすためにあり,その意味で○×式試験や選択試験はダメな試験と言われている。このような試験に慣れていると,思考力や問題解決能力が乏しくなると指摘されている(もっとも,国家試験は選択試験だが)。国家資格を与えられる職業の基盤を形成するものは高度で専門的・系統的な知識であり,この指摘を十分に承知したうえで,学生全員を合格させる熱意が求められる。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.