特別記事
中国四川大地震の被災地を巡って考えた災害看護確立の必要性
酒井 明子
1
1福井大学医学部看護学科
pp.828-832
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101019
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2008年5月12日,中国四川省で大地震が発生した。学校が倒壊し,多くの子どもたちが建物の下に生き埋めになったニュースは,日本国内でも放映された。
映像のなかで見る子どもたちは学校で授業を受けていたため,破壊されたコンクリートの隙間からペンを手にもったまま亡くなっている姿もあり,それがまた痛々しかった。災害が発生したのか何なのかもわからないまま亡くなっていった子どもたちのことを考えると身が震えた。亡くなった子どもたち,友だちを失った子どもたち,そして,わが子を失った両親・家族の思いには想像を絶するものがある。広範囲であまりにも多くの犠牲者を巻き込んだ大震災に対して,筆者は日本で何も考えることもできずに途方に暮れていた。しかし,現場で被災者に寄り添い,被災者の思いを感じる時間がもてれば何が必要かを考えることができるかもしれないと思い,そこから何か必要なことを始めたいと考えた。そして,その後筆者は6月5日に中国四川省成都へ入った。災害発生から3週間過ぎのことである。
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